個人向け
働く人が資格や技能を学ぶとき、条件を満たせば、受講費用の一部が雇用保険から支給されます。仕組みと、申請の流れを説明します。
教育訓練給付の種類
- 一般教育訓練給付金:仕事に役立つ幅広い講座が対象です。
- 特定一般教育訓練給付金:早期の再就職やキャリア形成に役立つ講座が対象です。
- 専門実践教育訓練給付金:中長期的なキャリア形成に役立つ、専門的な講座が対象です。
対象になる講座は、厚生労働大臣の指定を受けたものに限られます。給付の割合や上限は、種類と制度の改正によって違います。
対象になる人
雇用保険に一定の期間加入している人(または、離職して一定の期間内の人)が対象です。加入の期間の条件は、給付の種類によって違います。
申請の流れ(一般的な例)
- 1対象の講座を探す(厚生労働省の検索システムなど)
- 2種類によっては、受講の前にハローワークでの手続きが必要
- 3講座を受講し、修了する
- 4期限までにハローワークに支給を申請する
学び直しの前に確認したいこと
- 受講する講座が、給付の対象講座か(厚生労働大臣の指定があるか)
- 受講を始める前に、ハローワークでの手続きが必要か
- 雇用保険の加入期間などの条件を満たしているか
- 受講料の支払いが、給付の対象になる期間かどうか
給付は、受講が終わったあとに支払われる仕組みです。費用はいったん自分で払う必要があります。
よくある質問
Q. 離職している人も対象になりますか?
A. 給付の条件は、離職の状況や、雇用保険の加入期間などで決まっています。ハローワークで確認してください。
Q. 会社の研修費用を会社が払う場合は?
A. 会社の研修と給付は、別の仕組みです。会社の制度と併用できるかは、会社とハローワークに確認してください。
この制度ができた背景と目的
3つのポイント
- 何のため? 働く人が、自分で主体的に能力を高める取り組みを、支援するため。
- いつ生まれた? 1998年(平成10年)12月に、雇用保険の給付として創設。
- いまの形は? 一般・特定一般・専門実践の3つ。2024年10月に給付率が引き上げられ、2025年10月に教育訓練休暇給付金が始まる。
支える仕組み
ハローワークが給付
再就職の可能性
制度のあゆみ
- 教育訓練給付制度が開始。当初は給付率8割、上限20万円
- 給付水準が一本化(給付率2割、上限10万円)
- 「一般教育訓練」と、拡充された「専門実践教育訓練」の2本立てに
- 「特定一般教育訓練」が施行。給付率は受講費用の40%、上限20万円
- 首相が所信表明演説で、個人のリスキリング支援に5年で1兆円を投じる方針を表明(民間の報告による)
- 給付率を引き上げ。専門実践は最大80%、特定一般は最大50%に
- 「教育訓練休暇給付金」が施行
くわしく知る
できた経緯を、くわしく
労働政策研究・研修機構(JIL)の資料によると、教育訓練給付制度は1998年(平成10年)12月1日に始まりました。雇用保険の被保険者等が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を修了した場合に、受講費用の一部がハローワークから支給されます。
厚生労働省の資料では、平成10年の改正で、「労働者個々人が主体的に能力開発に取り組むことを支援するため」に創設された、と説明されています。
1998年当時の審議会の答申など、立法の詳しい背景は、今回の確認では公式資料を見つけられませんでした。
背景にある課題
研究者の論文では、1998年度の新設が、労働者個人の職業訓練の費用を補助する初めての制度で、在職者も対象とした点が注目される、と述べられています。企業内の訓練による雇用維持から、個人の人的投資・求職活動の支援へと、重要性が移ったことが背景に挙げられています(研究者の見解で、政府の立法趣旨そのものではありません)。
これまでの見直し
2003年の改正で給付率が縮減され、2007年の改正で、給付水準が一本化(給付率2割、上限10万円)されました。
2014年10月から、従来の枠組みを引き継いだ一般教育訓練と、拡充された専門実践教育訓練の2本立てになりました。専門実践は、働く人の中長期的なキャリア形成を支援する給付と位置づけられています。
特定一般教育訓練は、2019年10月1日に施行されました。「人づくり革命基本構想」で、ITスキルなど、キャリアアップの効果が高い講座について、一般教育訓練の給付率を2割から4割に倍増するとされたことを踏まえたものです。
最近の動き
2024年10月1日、教育訓練給付金の給付率が引き上げられました(同年8月13日公布の省令改正)。専門実践教育訓練は最大70%から80%に、特定一般教育訓練は40%に、資格取得・就職の追加分10%を加えた最大50%になりました。この改正は、個人の主体的なリスキリング等への直接支援を強化し、賃金の上昇や再就職等の可能性を高めるための措置、と説明されています。
教育訓練休暇給付金は、2024年5月に成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)」で新設され、2025年10月1日に施行されました。離職せずに教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取得した雇用保険の被保険者に、失業給付(基本手当)に相当する給付として、賃金の一定割合を支給します。要件は、連続30日以上の無給休暇、休暇開始前2年間に被保険者期間が12か月以上、など。
首相が2022年10月に表明した「個人のリスキリング支援に5年で1兆円」は、民間の報告で確認したもので、閣議決定文書での正確な記述は確認できていません。
当サイトの見方(解釈)
教育訓練給付は、「国が企業に出す補助金」ではなく、雇用保険の給付として、個人に直接届く制度です。そのため、雇用保険の加入期間などの条件が、受給の分かれ目になります。
国の方針は、「企業が育てる」から「個人が自分で学ぶのを支える」へ、重心が移ってきています。講座は指定制で、指定を外れた講座は対象になりません。受講の前に、必ずハローワークで、対象になるかを確認してください。
出典(確認した日:2026年10月14日)
- 教育訓練給付制度の開始(JIL)(労働政策研究・研修機構)
- 教育訓練給付制度の資料(厚生労働省)
- 雇用保険法改正の法律案要綱(1998年)(厚生労働省)
- 給付水準の一本化(2007年)(労働政策研究・研修機構)
- 専門実践教育訓練の拡充(2014年10月)(愛媛労働局)
- 特定一般教育訓練給付の施行(2019年10月)(厚生労働省)
- 教育訓練給付金の給付率の引き上げ(2024年10月)(厚生労働省)
- 教育訓練休暇給付金の施行(2025年10月)(山口労働局)
- 教育訓練休暇給付金の概要(東京ハローワーク)
- 個人の職業訓練に関する研究論文(研究者の見解・参考)(京都大学学術情報リポジトリ)
- リスキリング支援に5年で1兆円(民間・参考)(野村総合研究所)
上の内容は、出典に書かれた公開情報の要約です。制度の最新の内容は、必ず公式の公募要領で確認してください。





